開業歯科医院における自動麻酔記録ソフトウエア搭載鎮静タワーの臨床的有用性
この記事は、H30.11.16-18に行われた日本障害者歯科学会学術発表会におけるポスター発表の原稿です。
当院は、障がい者の行動調整法として、静脈内鎮静法を頻繁に行っています。5年ほど前から、院内で取り回しの良い鎮静タワーを自作し、臨床応用しています。
5年間使用した感想としては、治療にかかわるスタッフ全員が患者の状態を客観的に把握しながら治療することができるため、鎮静下の歯科治療を非常に安全で効率的に行えると感じています。
鎮静タワーの全貌です。架台に鎮静に必要な機材がすべて搭載されており、省スペース、移動可能となっています。治療時は、麻酔医、治療医、衛生士の全スタッフから見える位置に配置しています。そのことにより、全員が患者の状態を客観的に把握して治療を行うことができます。
構成ですが、まず一番上は自動麻酔記録ソフトウエア、paperChart搭載のPCです。paperChartにより、麻酔医は手書きから解放され、麻酔管理に集中することができます。また、このソフトウェアは原田歯科用にカスタマイズされており、非常に操作が簡単なために、スタッフ全員が使いこなすことができています。
次に、全身麻酔に対応できるモニターです。呼吸のモニターとして、メインストリームのCO2センサーを使用しており、これは4gと非常に小型なため、治療の邪魔になりません。また、大気を吸わないため、浅い呼吸でも鋭敏で迅速な測定ができます。
丈夫で取り扱いも簡単です。スタッフ全員が、カプノグラフから気道閉塞や無呼吸などを判断でき、気道確保など必要な処置を直ちに行うことができます。
鎮静モニターとしてBISを使用しています。これにより、適正な麻酔深度を保ち、麻酔時間の短縮、帰室管理の判断が簡単になります。
次は、PCの位置が高いため、ワイヤレスキーボードとマウスを設置し操作性を高めました。
その下には、プロポフォールやアルチバ用のシリンジポンプ2台が取り付けてあります。
背面にはセボフルランの全身麻酔に対応できるようにガスユニットを装備しました。
このタワーは、移動が簡単なため、すべての歯科ユニットで鎮静はもちろん、モニタリングにもすぐに使用でき1台で何役もこなすことができます。
タワーは、LAN構築されており、麻酔記録データはNAS上に保存されています。そのため、各タワーより麻酔記録の閲覧、操作が可能で、統計処理も簡単にできます。
また、モニターはLAN構築することにより、お互いのモニターを共有することができます。例えば回復室の患者のバイタルを診療室のモニター画面ですべてのスタッフが簡単に見ることができます。
このように当院では、すべてのスタッフが患者情報を共有し、複数の目でチェックをしながら麻酔管理、治療を行うことで鎮静下の治療の安全性と効率化をより高めることができています。
以上となります。ご清聴ありがとうございました。