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治療紹介

原田歯科医院

スペシャルニーズ歯科(障がい者歯科)・歯科訪問診療

ゆりかごから墓場まで、安心してかかれる歯科医療を提供します

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歯科訪問診療

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静脈内鎮静法下の歯科治療の現状

原田歯科では、歯科治療恐怖症、異常絞扼反射の患者様に静脈麻酔下歯科治療を保険診療でルーチンに行っています。今回は、その現状を記事にしてみました。

①患者様の状況
現在は、異常絞扼反射、パニック障害、強度の歯科治療恐怖症、精神疾患などにより意識下での歯科治療が行えない方が、比率ではおおよそ5:2:2:1ぐらいの割合にあります。初めは、強度の歯科治療恐怖症中心になるかと考えていましたが、予想外に異常絞扼反射で歯科治療ができない方が多いことがわかりました。これらの方は、歯科治療自体よりも反射が起こることに恐怖感を抱いており、当院にいらっしゃる方の大半は異常絞扼反射が強く、意識下で口腔内診査をできない方が大半です。
その次にパニック障害の方も多くいらしています。パニック障害の方の場合、ご家族などに車で送迎してもらえる方は良いのですが、電車やバスなどを乗り継いでいらっしゃる患者様の場合、通院の精神的負担や、通院時に発作を起こしてしまうことへの不安から、通院が途絶えてしまうことがありました。
歯科治療恐怖症として来院される方の中には、痛みがないようにしっかり鎮痛を行えば笑気吸入鎮静法程度でも治療可能な方が多いように思います。過去の歯科治療の痛み、抑えられたりなどのいやな記憶がトラウマになっていることがほとんどです。
強度の歯科治療恐怖症の方の場合は、痛みだけでなくすべての刺激が異常な反射、行動を起こしてしまうため意識下では治療が危険かつ無理な場合が多いです。
精神疾患の患者様の場合は、意識下ではなかなか治療をさせていただけません。ご家庭で歯磨きをすることも、無理な方が多く、歯石で歯が見えないような方もいらっしゃいます。一度、意識下で歯石除去を試みたことがありましたが、1時間で数分程度しか協力がえられず、ほぼ何もできませんでした。

②問題点
原田歯科にいらっしゃる患者様は、最低限でも意識下鎮静をしないと、簡単な歯科治療自体が無理な方が多く、通常の歯科治療ではほとんど意識消失を伴う静脈麻酔になってしまいます。そうなると、やはり歯科麻酔医と歯科治療医がペアで診療を行っているような環境でないと静脈麻酔で管理が難しい症例では安全性が保てないと思います。そのような症例は、挿管もしくはラリンジアルマスクなどで気道を確保して全身麻酔で行ったほうが安全です。
常に静脈麻酔レベルで歯科治療ができる環境がないと急患に対応できません。そういった意味インプラント手術の時だけ麻酔管理を歯科麻酔医に丸投げしているような施設では責任ある対応が難しいとおもいます。

当院の歯科治療受診困難者に対する治療の姿勢を評価していただき、診療の運営に協力していただいてる明海大学歯科麻酔科教授の小長谷光先生同大学講師の大上先生、助教の今村先生には非常に感謝しています。その他様々な面で、医局のそのほかの先生方にもいろいろとお世話になっています。ありがたいことです。

これらのいわゆる健常者の歯科治療受診困難者の方の診療は、障がい者の方のそれよりも手薄で意外と行き場がないことが多いように思います。あっても、予約待ちの期間がとても長いようなことを聞きます。保険点数の問題や、歯科麻酔医の少なさなどが原因のようです。

設備に関しては、ハートモニターは当然として、BISモニター、カプノメーター(呼気CO2モニター)などは完備しています。
酸素、気道確保器具(エアウェイ、ラリンジアルマスク、i-gel、気管チューブなど)、バッグマスクなどは最低限必要になります。
麻酔器なども装備しており、気管挿管を行いセボフルレンなどによる吸入麻酔薬による閉鎖循環式の全身麻酔に対応できるようにしています。

吸引は、通常の歯科ユニットからのもの、別系統の機械式バキューム、停電時にも使用可能な充電式のバキュームの3系統を用意しています。それ以外にも、当院では自家発電設備があるため、停電などにより商用電源が断たれても数日間は通常診療が可能です。

メンタルクリニックなどでベンゾジアゼピン系の抗不安薬などを処方されている方の場合、鎮静薬であるドルミカムに反応しないことが多いため、静脈麻酔薬のプロポフォールを持続的に投与するためのTCIポンプは不可欠です。
麻酔記録に関しては、当院ではpaper chartという自動麻酔記録システムを導入しています。
そんなことをしているうちに、個人医院としては結構な装備になってしまいました。

患者様には禁食、禁水を守っていたくこと、車やバイク、自転車で来院しないように、十分説明して、誓約書をいただいていますが、さらに徹底する必要性を感じることがまれにあります。

その他、細かい問題はあるかとも思いますが、今後もいろいろと問題点を改善しつつ、患者様が安心、安全に治療を受けられるよう努力していきたいと思います。

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