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歯周病と糖尿病
糖尿病は、大まかに
1型糖尿病
インスリン分泌障害によるもの
2型糖尿病
インスリンが分泌されているが、インスリンに対する感受性が低下しているもの
に分けられます。
1型糖尿病に対する影響
非常に大雑把な説明になってしまいますが、
遺伝子レベルの研究では、ヒト白血球抗原(HLA抗原)の1型糖尿病の発現性の関連が強いといわれている遺伝子の配列パターンがまさに、歯周病の易発現性ともかかわっている事がわかっています。
この抗原領域の遺伝子は、感染が起こったときに、単球、マクロファージといった免疫細胞が、炎症の反応物質であるTNF-αをどれだけ分泌させる能力があるかを決めています。
この分泌能が高いと、歯周炎になりやすいことがわかっています。
ちなみに、TNF-αはインスリン抵抗性を高める(効きを悪くする)働きがあります。
歯周炎があると、歯周組織の中では、免疫細胞から、常にそれなりの量のTNF-αが分泌され続けていて、、破骨細胞の活動を活発にして、歯周組織の破壊がすすみます。
こういったことから、1型糖尿病と歯周病の発現性が相関しているのではないかと言う説が有力です。
2型糖尿病に対する影響
歯周病原因菌の内毒素としてLPS(リポ多糖)がありますが、歯周病患者の方の場合、LPSや歯周病菌が血管に絶えず流入してくることで、肝臓においてそれらの抗原が集積して、脂肪細胞などからTNF-αが放出されます。
当然ながら、歯周炎があると、歯周組織の中でも、単球、マクロファージなどの免疫細胞から、TNF-αが産出されています。
これらのTNF-αは、インスリン抵抗性を高めるため、結果として2型糖尿病の治癒を遅らせると考えられています。
実際、糖尿病がコントロールできていない患者様の場合、非常に短期間に歯周病がすすんでしまうことが多いと思います。
歯がなければ、歯周病にもかからないのでしょうが、歯がなければないで、食べる楽しみや、口腔周囲の筋力の衰えにより、咀嚼や物を飲み込む力、口を閉じる機能が落ちてしまいます。
また、かむ筋肉は、脳に血液を送る第2の心臓です。脳の賦活化にも一役買っています。
そのことで、さまざまな悪影響が出てきますので、「歯がなければいいや」では、あまりにも安易過ぎます。
生活習慣を見直すことで、避けられる病気は多くあります。
歯周病も、遺伝的な要因は否定できませんが、治療や口腔ケアー、生活習慣の改善により、進行を止めることは難しくありません。
歯周病原因菌は、最近になってさまざまな病気のきっかけになりうる事が、わかってきています。
歯科では、当たり前のことが、意外と医療にたずさわる方に周知されていないことが多いような気がします。
私たち歯科にたずさわるものも、アピールする努力が足りないように思います。
今後はこういった話題も取り上げていきたいと思います。