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東京都の心身障害者医療費助成制度(マル障)について
重度の障がいをお持ちの患者様の歯科治療は多くの困難さが伴います。
①通院の困難さ
ご家族などの付き添いが必要な障がいのある方は、通院自体が大きな受診のバリアになります。通院する施設が近隣にある場合は、やや負担が減りますが、遠方の場合は大変です。
現在、原田歯科に通院して頂いている多摩地区の施設に入所している重度の自閉性障害(自閉症)の方は、治療の際にどうしても鎮静や全身麻酔などの麻酔管理が必要です。
そのため、以前は自宅に戻ってくる日に都内の専門の医療機関に通院していました。
電車やバスはパニックを起こしてしまうため、ご家族が車で送迎していましたが、都内は交通渋滞がひどく時間が読めないため、交通渋滞の起こっていない早朝に移動し、近くの駐車場で診療時間まで待機していたということです。
そこから、診療を受け帰宅するとなると半日もしくは1日仕事になります。
日常家事やお仕事で多忙な方や、ご高齢のご家族の方の負担は大きく本当に大変だと思います。
私も精神障害を持つ家族が複数います。
以前、体力があり行動障害が強い時期はほぼ連日あちこちで問題行動をおこし何度も警察に保護されたことがありました。
高齢の家族が同居していましたがいったん火が付くとドアや窓を破壊して出て行ってしまうのでどうにもなりません。病気のためなので仕方のないことですが、なかなかその状況がわかっていただけなくて苦慮したことがあります。
また、がんの治療で都内の病院に通院していましたが、高齢の家族では対応しきれず兄妹の付き添いが必要でした。
今も、障害のある家族を介護疲れなどが原因で手にかけてしまう報道を目にすることがありますが、このようなことが起こらないように行政がしっかりと支える仕組みを整えるだけでなく、行政側から手を差し伸べていただけると本当に家族は助かると思います。
パソコンやスマホさえもうまく使えない高齢者の家族が行政のホームページを見ることは難しく、相談先さえも分からないこともあります。
②治療の困難さ
行動障害がつよいと処置がほとんどの歯科治療は非常に困難さを伴います。
そのような方は、人口の数パーセントはいるはずなのですが、そのような患者様を受け入れる体制が整っている歯科医院は多くありません。
抑制や麻酔を使って何でもかんでも治療する必要もなく、毎月予防処置や口腔ケア、スケーリング(歯石除去)をするだけで充分な場合が多くあります。
それだけの簡単な処置でも、拒否や体動が激しくパニック、チアノーゼやてんかん発作などを起こしてしまうこともよくあります。最低限の抑制具(レストレイナー、開口器など)、モニター、酸素、緊急薬剤などは必要になります。
治療となるとさらにハードルが上がり、障害者の歯科治療に対応できる設備、歯科医師、歯科麻酔医、歯科衛生士、受付など医院自体のシステムを構築しないと難しくなります。
著しく歯科治療に困難な方は診療費の加算があり、おおよそ通常の診療の50/100の加算があります。(治療費がおおよそ1.5倍ということです。)
患者様の負担を減らすため、東京都では心身障害者医療費助成制度(マル障)があります。
以下は、八王子市のホームページからの抜粋です。
制度名
心身障害者医療費助成制度(マル障)
対象者
- 身体障害者手帳1級・2級(内部障害は3級も含む。)の方
- 愛の手帳1度・2度の方
- 精神障害者保健福祉手帳1級の方
※平成31年1月1日から、精神障害者保健福祉手帳1級の方も対象となりました。
支給制限
- 対象者(20歳未満は世帯主または社会保険による被保険者)の前年所得が基準額3,604,000円(扶養親族が1人増すごとに380,000円を加算)を超えている方
- 生活保護や中国残留邦人等支援給付を受けている方
- 65歳以上で初めて手帳を取得した方
- 65歳に達する日の前日までマル障の申請を行わなかった方(東京都内に住所がなかった、生活保護を受けていた、などのために65歳前にマル障の申請を行うことができなかった方を除きます。)
- 後期高齢者医療の被保険者で、かつ住民税が課税されている方
- 公費により医療費が賄われる施設に入所している方
- 健康保険未加入の方
施策の内容
医療を受ける際に受給者証を提示すると、健康保険が適用された医療費の自己負担分に対して助成が受けられます。
助成額等
一部負担を除く額が助成されます。ただし住民税非課税の方は、入院時の食事負担を除く額が助成されます。
介護保険の利用者負担額は対象外です。
高齢者の医療の確保に関する法律の改正に伴い、令和元年8月1日から、マル障の負担上限額が変更となります。
- 外来 14,000円/月(年間上限額144,000円) → 18,000円/月(年間上限額144,000円)
- 入院 57,600円/月(多数回該当44,400円) (変更なし)
※区市町村民税非課税の方は、変更はありません。
その他
- 還付請求
助成を受けられる自己負担分を支払った場合(都外の医療機関など)は、保険診療とわかる領収書を受け取り、後日市に請求してください。
- 必要書類
保険診療とわかる領収書(原本)・受給者証・印鑑・高額療養費に該当する場合は当該給付決定通知書
必要書類
- 身体障害者手帳、愛の手帳又は精神障害者保健福祉手帳
- 健康保険証
- 印鑑
- 今年1月2日以降に八王子市へ転入した方は「課税または非課税証明書」※今年8月までは前年度のもの、9月以降は今年度のもの(本人が20歳未満の場合は世帯主または社会保険による被保険者のもの)
お問い合わせ先、申請窓口
- 障害者福祉課
- 八王子駅南口総合事務所 ※還付請求・受給者証の紛失・破損等の再発行
- 南大沢事務所 ※還付請求(月曜日から金曜日)、受給者証の紛失・破損等の再発行(火曜日及び木曜日)
- 浅川事務所・由木事務所・元八王子事務所・北野事務所 ※還付請求のみ
※月曜日から金曜日(土曜日・日曜日・祝日はお取り扱いできません)
更新
受給者証は毎年9月に更新されます。更新前に所得内容の確認ができない方にはお知らせが届きます。
こんなときは連絡を
- 住所・氏名を変更したとき(都内転出の場合は資格の継続のために連絡票を発行しますので、障害者福祉課へお越しください。)
- 加入している健康保険が変わったとき(新しい健康保険証と受給者証の写しをお送りください)
- 後期高齢者医療被保険者証の交付を受けたとき
※20歳になったら
障害者が20歳になると所得の審査を本人所得で判定しますので、所得制限以下になり新たに申請できる場合や、一部負担金がなくなる場合がありますので、ご連絡ください。