高齢者のインプラント治療とその後
一昔前は、歯科インプラントは先進的な歯科医療でしたが、現在は一般的な歯科治療の1つの範疇となり特別な治療ではなくなってきました。逆に、歯科開業医では歯科インプラントぐらいできないとまずい様な雰囲気にさえなっています。ずいぶん様変わりしました。
原田歯科でも、もう15年以上前から歯科インプラントを行っていますが、学会でも歯科インプラント、骨造成のテクニック、知見なども革新的なものは少なくなってきているように思います。インプラント体の表面性状がより骨に結合しやすくなってきたり、チタンメッシュを骨造成に使うことでよりより大きな骨造成量が得られるようになったぐらいでしょうか。CGFなどの細胞加工も当たり前に行われるようになりました。
現在は、以前埋入されたインプラントのトラブルの処理や、インプラント手術を受ける患者様の高齢化、それらの患者様が将来認知症などにより口腔ケアが十分に行えなった場合を考えて管理しやすいインプラント治療を行う配慮が必要になってきました。
原田歯科でもインプラント手術を受ける患者様は、主に60、70、80歳代の方がメインとなっています。歯科インプラントは特別侵襲の大きい治療ではないので、通常の抜歯などの外科手術などと同じように全身管理をしっかり配慮すれば通常大きな問題は起こりません。
それよりも気になるのは、インプラントを埋入された患者様が重度の認知症などになり、口腔ケアを行う上でその上部構造を外すことを患者様サイドから依頼されることも出てくることです。
インプラントは、上部構造はねじ止めもしくは仮着セメントによる仮着の場合が多いので、上部構造を外すためにはそのインプラントメーカーのネジを外すドライバーが必要になってきます。レントゲンでインプラントを撮影するとその形状からだいたいどのメーカーのインプラントか見当はつくのですが、時折中国製や韓国製などのレアなインプラントが埋入されていることがあり、なかなかドライバーが入手できないことがあります。
そのあたりが、今後問題になってくるように思います。このようなことから、ドライバーに関してはユニバーサルな規格のものを各メーカーが話し合って早い時期に歯科に提供できるようにしてほしいと思います。
また、インプラントを埋入した歯科医院が自院でインプラント治療をした患者様に訪問診療を行い後々のケアーに責任を持てるかどうかも大切なことになります。手術して、「はい、終わり。」では済まない時代もうすぐ来るように思います。