再発性アフター性口内炎について
口内炎はありふれた口腔粘膜疾患ですが、再発性といって頻繁に口内炎を起こす患者様がいます。
再発性アフターの患者様は、口内炎がない期間のほうがある期間に比べ短いという具合です。
今回は、再発性アフター性口内炎についての記事となります。
①アフター性口内炎の機序
口腔内は700種類程度の口腔内細菌が常在しており、食べる、話す、のみ込むなど人の体の中では、運動量の大きな器官です。食事の際には、様々な温度や硬さ、塩分、酸などの刺激物により常に口腔内には微細な傷ができています。また、食べる、話す、のみ込むなどの機能時も頬、唇、舌、歯などが押し付けたり、こすれあうことでその機能を発揮します。
また、ブラキシズムといってかみしめ、食いしばり、歯ぎしりなど食事をしていないときの習癖が唾液の分泌量の少ない夜間に起きると舌や頬などの口腔粘膜に圧痕や、咬傷ができることがよく観察されます。
口腔内には微細な外傷や感染が常に起きており、直下の毛細血管は常に修復を繰り返しています。血管に傷ができると、まず血小板によって血栓を作り、その血小板血栓上でフィブリンが形成されがっちりと血管の修復が行われます。フィブリンは血管が修復後は、速やかにプラスミンにより溶解されます。(線溶)
線溶が起こらないと、フィブリン血栓がそこから末梢の血行をふさいでしまいます。
血中には肝臓で生成されたプラスミンの前駆物質であるプラスミノゲン(PLG)が存在しており、血管内皮細胞で産出されるtPA(組織内プラスミノーゲンアクチベーター)によりフィブリン存在下でプラスミンに変換されます。
口腔粘膜下の血管に発生したプラスミンは、発痛物質であるブラジキニンや炎症を起こすヒスタミンが発生し、その部位の血管透過性が上がることにより血管外漏出を起こし炎症や強い痛みが出てきます。口腔粘膜は薄いため、欠損ができやすくいわゆる口内炎になります。
②対応
プラスミン活性は自己免疫疾患、外傷、炎症やアレルギー症状などにより上昇します。十分な休養、睡眠、栄養摂取を行うことにより、プラスミン活性の上昇を抑え、結果として口内炎ができにくくなります。
現在の原田歯科での処方
トラネキサム酸 (内服)
抗プラスミン薬です。発痛物質であるブラジキニン、炎症物質であるヒスタミンなどの発生を抑えます。
フラビタン (内服)
ビタミンB2製剤です。
疲労時に枯渇しやすく、欠乏すると粘膜の修復が遅延することを防ぎます。
アフタゾロン (外用)
口腔粘膜塗布用の弱ステロイドの塗布用軟膏です。炎症の亢進を抑えます。
塗布しにくい部位には、サルコート(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル噴霧剤)を使用します。
唾液分泌量の少ない就寝前に充分量(起床時に口腔内に薬剤が残留しているぐらいが適量)塗布します。
ロキソニン、カロナールなどの鎮痛薬 (内服)
安静時痛みが強いときは、処方します。
その他の対応
炭酸ガスレーザーで口内炎表層を凝固させると一時的に痛みが感じづらくなります。