自分の歯は何本あるのか?8020の行方
「80歳になっても自分の歯を20本あるようにしよう」というのが、いわゆる8020運動と言われるものです。
20本と言う歯の数があれば、食生活に支障がないであろうという、ひとつの目安です。
歯が0本でも、義歯を使うことで、何の支障もなく食事が取れる方もいますし、逆に歯が残っていても、ケアーができずに痛みや、トラブルの元にしかなっていない方もいますので、20本なくても悲観することはありません。
お口の中が、清潔に保たれ、通常の固さの食事が、支障なく摂れていれば問題ありません。
現在、自分の歯が何本あるかどうかは、あまり気にしないでください。
ただ、間違いないことは、歯の数は、年に一度歯科医にきちんと検査してもらい、最低限の治療をし、日ごろの手入れができていれば、歯を失うスピードは、かなり落とせるということです。
日本は、他の先進国に比べ、貧富の差が少ないうえ、歯科医療にかかるコストも先進国の平均的な額の1/4から1/10と低いため、歯科医にかかることが経済的に困難な方は少ないはずですが、定期健診の習慣がないことや、歯に対する意識が低いために、「痛くなったら歯科へ行く」と言うケースが多いようです。
そのために、口腔内のケアーに対するコントロールがほとんどできていません。
「痛くなってから、治療する」グループと「半年ごとに、検診し、最低限の治療を受け、日ごろの手入れをやる」グループにかかる歯科治療のコストと、通院のために必要な時間を比較すると、間違いなく数倍は後者のほうが少ないと思います。
後者の場合、早期に問題点が把握できるため、処置が軽く済み、患者様の口腔に対する意識が高まるため、相乗効果的に歯科的な問題が少なくなります。
ちなみに、平成17年度歯科疾患実態調査によると、
一人平均現在歯数は、
40-44歳 27.5本
45-49歳 26.4本
50-54歳 24.8本
55-59歳 23.6本
60-64歳 21.3本
65-69歳 18.3本
70-74歳 15.2本
75-79歳 10.7本
80-84歳 8.9本
85歳以上 6.0本
となっています。
実情は、8020ではなく、6020(60歳で、20本)といったところです。
ヒトは、親知らずの除くと28本歯がある方が、ほとんどです。
50歳代後半から、急に歯を失う数が多くなっていることがわかると思いますが、これは突然歯が悪くなったのではありません。
通常、30歳代後半ぐらいからゆっくりと歯周炎が進行し、メンテナンスができていないと20年程度かけて抜歯に至ってしまうケースが多いことがわかります。
また、残存歯が少なくなると、残っている歯に負担がかかるため、共倒れになってしまうことも、考えられます。
メンテナンスができている方は、ほとんど歯を失いませんので、メンテナンスができていない方の場合は、平均値よりも、倍近いスピードで、歯を失っているのではないかと思います。
私たちも、治療するだけではなく、よりいっそうメンテナンスの重要性を患者様に理解していただけるようにしていきたいと思います。
そうしなければ、患者様が、「歯科にずっとかかっているのに、どんどん歯がなくなっていく」という悪循環に陥ってしまう可能性があります。