学校の検診はどこまで正確か?
新年度が始まると、学校などでは、歯科検診が一斉に行われます。その際に、
1)虫歯の有無
2)歯周病(ほとんどは、歯肉炎)
3)かみ合わせ
4)要注意乳歯
5)その他の所見
などが指摘され、その通知表を持ってかかりつけの歯科に行くわけですが、その歯科で見てもらうと、無いとされていた虫歯が指摘されたり、逆に治療の必要のある虫歯があるとされていたにもかかわらず、治療の必要は無いなどと言われたりします。
これは、いったいどうしてなのでしょうか?
学校などの集団検診では、ほぼ視診のみで診断します。大きな虫歯、歯肉炎、かみ合わせ、などの要注意乳歯であれば視診の所見と、実態の間に異差は少ないはずです。
実際、治療となると、話は別です。
最低レントゲンなどを撮らなければ、やはり正確には診断できません。
小さい虫歯などは、探針という細い針で、触診することで判断しますが、この行為が初期の虫歯の場合、進行の止まっている虫歯の表面を壊し、虫歯を人為的に進行させてしまう恐れがあるため、検診においては、探針もなるべく使用しないようにしています。
そのために、歯科医院に行くと、検診(視診)ではないとされた虫歯が発見されることが、当然のことながら、少なからずあります。
治療となれば、レントゲンを撮り、正確に診査をして、治療計画を立てますので、そこの差がどうしても出てしまいます。
これは、検診自体の手法、目的としているレベルの問題で、検診をする歯科医が、ミスをしているわけでは、ありません。
また逆に、
1)歯の溝などに単なる着色で歯が黒くなっていたり(茶渋など)
して視診だけでは、虫歯ではないと言い切れない場合
2)小さい虫歯の場合、進行がとまっていると判断された場合、
3)抜ける寸前で、永久歯に影響を及ぼさないと判断される乳歯の乳歯などは、
検診で、虫歯と判断されても、治療しないことが多いと思われます。
このように、歯科の集団検診は、ある程度すすんだ歯科疾患を見つけ出すものと考えていただいたほうがよいと思います。
しかし、歯科に定期的に検診を受ける習慣が日本では根付いていないため、1年に1度視診のみであろうと、検診を受けることは、重度の歯科疾患を持つ子供を探し出し、さらに重症化させないためにはとても意味のあること考えています。