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パーキンソン病と歯科診療

パーキンソン病は錐体外路系の運動障害を伴う疾患で、中脳黒質の変性と線条体でのドパミン量の減少がみられます。有病者率は0.1%程度で発症年齢は50-60歳代が最も多く、更に高齢化していて男女比はほぼ同じです。神経変性の疾患としてはアルツハイマー型認知症に次いで多いとされています。
症状としては、中脳黒質の変性によりドパミンの産生量が減り、線条体がドパミン不足により錐体外路症状を呈してきます。錐体外路症状とは主に骨格筋の緊張と運動を反射や不随意運動が自発するようになり、次第に随意運動もできなくなることを言います。
主症状は主に、
①振戦 震えのことで上肢に見られ、頭頚部やおとがい口唇にも見られます。
②筋固縮 肘関節や手関節を他動的に動かすと筋肉の抵抗を示すもので、持続的な抵抗は鉛管様固縮、断続的な固縮は歯車様固縮と言われています。
③無動、寡動 動作が全般的に遅く拙速になることで、椅子から立ち上がる時や体位を変換するときによく見られます。また、無動による仮面様顔貌、言葉は単調で少なくなり、書字が小さくなる小文字症なども見られます。
④姿勢反射 立位に関し前傾、前屈になり頭部をやや前方に出し、膝を屈曲した特徴的姿勢が見られます。また、姿勢調整も障害され押された方向に倒れる突進減少、徐々に小走りになる加速歩行、歩き初めに足が床にへばりついてしまうすくみ足などが見られます。

が4大兆候とされます。
治療法は、L-dopaやドパミンアンタゴニストなどの薬物療法と手術が行われています。

パーキンソン病は進行性の疾患であり、その重症度はHoehn-Yahr分類があります。しかし、平均余命は一般より2-3年程度短いだけであり、臥床になってからの誤嚥性肺炎などの感染症が生命予後を決めるといっても良いと思います。

歯科診療で配慮すべき点

①口腔ケアの重要性
摂食嚥下障害を認めることが多く、誤嚥性肺炎予防の観点からも口腔ケアは必須とされています。また、下顎や舌の不随意運動であるオーラルジスキネジアがある場合では、義歯のトラブルが頻発するため口腔内の診察は必ず行います。
②合併症への配慮
パーキンソン病はそれ自体は歯科治療にリスクは伴いませんが、脳血管障害、糖尿病、心疾患などの合併症が見られる場合が多いため、それらに対する配慮が必要になります。
③運動障害に対する配慮
四肢の運動障害やすくみ足などにより移動の困難、転倒、体位変換時に血圧低下を起こしやすいことや、薬剤による不随意運動などには声がけを行い誘導時のスタッフの立ち位置など先読みして配慮を行います。
④L-ドーパの副作用による不随意運動、wearing-off現象(薬効有効時間の短縮による症状の増悪)、0n-off現象(急激な症状の悪化と改善が繰り返される現象)などがあります。オーラルジスキネジアや四肢の不随意運動が見られる患者様の場合、義歯の咬合採得時に適切な咬合位を再現できないことが多いため処方医の先生に薬剤の減量などによりコントロールを依頼します。
⑤歯科治療時は、注水による誤嚥や不随意運動による補綴物落下を含む医療事故に注意します。
⑥摂食嚥下障害に関しては、定期的にスクリーニング検査(MWST,RSTT,CT,FTなど)、頚部聴診など簡便な検査を行うようにします。極端に食事時間が長くなったり、熱発や体重減少、脱水などがあるようであればVEなど在宅で行える精密な検査を行います。食形態や食事の姿勢、食具の工夫などの代償的な手法や機能訓練なども行える範囲で行うことで口から食べられる期間を延長することができます。
⑦DBS(脳深部刺激療法)患者様には単極の電気メスは使用禁忌なため、双極電気メスもしくはレーザーなど別の機器を使うようにします。