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ビスホスホネート製剤の副作用

ビスホスホネート製剤は、日本では主に、経口製剤は骨粗しょう症、注射剤では癌の骨転移による、骨合併症に対して使用されている薬です。

この薬は、骨との親和性がよく、骨吸収抑制、骨密度の向上をもたらします。そのことにより、骨粗しょう症では骨折の予防、がん治療においては骨の痛み、骨折などの合併症を減らします。
非常によく使用されている薬です。
国内で販売されている製剤は、以下のとおりです。

注射用製剤
アレディア(ノバルティスファーマ)
オンクラスト ティロック(万有製薬 帝人ファーマ)
ビスフォナール(アステラス製薬)
ゾメタ(ノバルティスファーマ)

経口製剤
ダイドロネル(大日本住友製薬)
フォサマック ボナロン(万有製薬 帝人ファーマ)
アクトネル ベネット(味の素 武田薬品工業)

この製剤を使用中に、顎骨の壊死が起こることが報告されています。主に、注射剤によるものがほとんどですが、注射用製剤における顎骨壊死の頻度は、0.8-12%との報告があります。(アメリカ口腔外科学会)
また、10万人年(10万人が1年間薬を服用していた場合)あたり95件との報告もあり、いずれにしても少ない頻度ではありません。

経口製剤では、今まで顎骨の壊死の発症率は、0.01-0.34%程度が起こると言われてきました。ところが、2009年1月のThe journal of American Dental Associationに掲載された疫学的な調査結果によると、じつに4%の発症率が報告されています。

実際、ビスホスホネート製剤を服用している患者様の抜歯を行ってきましたが、間違いなく抜歯後の治癒が遅いので、本当に顎骨の壊死の発症率は、0.01-0.34%程度なのか?不思議に思っていました。

感覚的には、やっぱりという感じです。
ラフな調査結果からもたらされた異様に低い数字が、長い間まかり通っていたようです。

顎骨の壊死がいったん起こってしまうと、適切な対応法が確立していないため、非常に困っています。

顎骨壊死は、特にあごの骨にダメージを与える歯科治療(抜歯、インプラントなどの骨に絡む処置)、口腔内を不潔にしていると頻度が高くなります。(8倍程度の報告もある)

注射剤の使用は長期にわたるので、その期間中に歯科治療を受けるリスクは少なくないのですが、そのときには、歯科医に服用を告げ、極力壊死を起こさないように配慮をしてもらうべきです。

また、これから服用を開始される患者様の場合は、服用前に歯科の検診をして抜歯などの骨に侵襲のある治療は完了し、治癒させておくべきです。

また、意外と他科の医師の先生方には、知られていないのですが、根管治療、歯周炎治療、義歯治療などでも、顎骨に対して大きな侵襲リスクがある場合があります。

そのような情報は処方医、歯科医ともに共有しておいたほうが、患者様の利益につながると思います。

服用中に、壊死が発生してしまった場合は、服用を中止することが推奨されています。壊死の程度によりますが、腐骨の除去などの比較的軽い処置から、顎骨の部分的な切除まで必要になることがあります。

投与中に骨に侵襲を与える歯科治療がどうしても必要な場合は、3ヶ月程度注射剤を中止して、処置、手術をし、治癒を確認後に、再投与を推奨する研究者もいます。ただ、投与を中断しにくいケースもあるようなので、そのような場合は、ぜひご相談ください。

なお、歯科に関連するもの以外では、コルチコステロイド治療、糖尿病、喫煙、飲酒、化学療法薬などの危険因子があるとさらに壊死の発生頻度が上がります。

壊死の発生原因は、不明ですが、ビスホスホネート製剤による骨の代謝のスピードの抑制による微細な骨折の蓄積によるもの、抗血管新生抑制による骨の代謝の遅れなどが説としてあります。