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治療紹介

原田歯科医院

スペシャルニーズ歯科(障がい者歯科)・歯科訪問診療

ゆりかごから墓場まで、安心してかかれる歯科医療を提供します

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総入れ歯にすれば、歯の悩みはなくなるか?

 

歯の治療は、借金のようなもので、手当てせずにためたままにしておくと、自然に減ったり、治ったりすることはないので、だんだんと収拾がつかなくなります。なかなか、治療をつづけて受けることができなくなると「全部歯を抜いて、総入れ歯にしたい。そうすれば、歯の治療ともおさらばだ。」などという人がいます。本当に、そうでしょうか?すべて自分の歯の人と、総入れ歯の人では、どっちが良いのでしょうか?客観的に検証してみましょう。

歯科医にかかる頻度、費用はどうか?
すべて自分の歯の人(今後、自歯の方と略します。)は、1年に1,2回は検診に歯科医院に行くべきです。その際に、歯周炎、虫歯のチエックをし、必要であれば治療をします。きちんと手入れができている方は、1年に1回ぐらいのチェックで良いです。

総入れ歯の方は、1年に1度は、入れ歯の検診に来るべきです。入れ歯が具合が悪くないと来ない人もいますが、入れ歯には、カンジダというカビがつきやすいので、口腔粘膜のチェックは欠かせません。また、平均的な入れ歯の寿命は5年程度なのでそのたびに作り直しや、修理の費用が必要になります。

総入れ歯になったからといって、歯医者にかからないないなんてことはありません。入れ歯の悩みが、新たに出てきます。

総義歯(総入れ歯)

口腔ケアーが不十分な口腔:虫歯菌、歯周病菌の巣窟です

日ごろの手入れは大変か?
自歯の方は、毎食後と寝る前に歯みがきをします。

総入れ歯の方は、自歯の方と違って口から歯を取り出せますから、掃除は非常にかんたんです。また、もう歯がないので、虫歯や歯周炎にかかることはなく、入れ歯をはずした状態であれば、水でゆすぐ程度で口の中は充分きれいになります。これは、充分な口腔のケアーが受けられない方にとっては、非常にメリットになります。

当院では、訪問診療を数多く行っていますが、患者さんの平均年齢は90歳を超えると思います。その中で、自分で歯をみがくことができる方は、全体の1,2割ぐらいでしょう。ほとんどの方は、周囲の医療従事者の方や、家族の方にケアーしていただいているようです。

それらの方にとっては、口の中は、暗く、よく見えない、患者さんがなかなか口をあいてくれない、歯みがきを嫌がるなどの理由で、なかなか歯をみがくことも大変なようです。

おまけに、今の日本は医療費削減の嵐の中で、慢性的な人手不足のなか、直接見られることのない口の中までは、手が回らないという厳しい事情もあります。

顔に食べかすがついていれば、すぐ気がつきますが、口の中では、3日前に食べたラーメンのネギが残っていても、誰も気がつかないでしょう。
口腔ケアーができる人手がない状況では、歯があることで、口の中は、食べかすだらけになり、細菌の巣窟になります。頻繁に虫歯や歯周炎が起こってきます。
通常、これらの方は、嚥下も正常にできなくなっているため、病原菌だらけの唾液、食さ(食べかす)を誤嚥して肺炎を起こしやすくします。抗菌剤を使っても、口の中に永遠と感染源があるのですから、薬をやめればまた肺炎を起こしてしまいます。

今の日本では、自分で歯の手入れができなくなると、行き届いた口腔ケアーを受けられる方以外は、歯が残っていればいるほど悲惨な状況がまっています。

何でもかめるか?
自歯の方は、食べ物であればなんでも大丈夫でしょう。

総入れ歯の場合は、顎の状態により個人差はありますが、適切に作られたものであれば、おおよそ自歯の方の6分の1程度の硬さのものが、かめる限界になります。ただ、日本は軟食の時代です。歯がなくとも、食べられそうなものばかりです。

大半のものは、総入れ歯であろうと食べれるでしょう。入れ歯の安定剤を使えば、かめるものの限界はあがります。

快適さ(入れ歯は、違和感なく自分の歯のように使うことができるか?)
自歯の場合は、特に問題はないでしょう。

総入れ歯の場合は、その方の装着している義歯の状態によります。
総入れ歯は、初めて入れる時は、慣れるのが大変ですが、本当に入れ歯がないと困る人がほとんどですので、何が何でも入れ歯をはめてくれると思います。そういう方はきちんと調整をすれば必ずなれてきます。

逆に、歯がないと言う理由だけで、充分な動機付けのないまま、部分入れ歯を作られた方は、はずしてもさして困らないため、違和感があるとすぐに入れ歯をはずしてしまいます。これでは、いつまで経っても慣れません。

よい入れ歯は、型を取れば、簡単にできるものでもなく、それなりに知識、技術、経験を必要とされますし、手間も時間も必要です。

虫歯で、歯を抜かれた方は、比較的あごの骨のボリュームが残るために、総入れ歯の安定がよく、満足度が高いのですが、歯周炎で抜かれた方は、顎がやせているため、入れ歯の落ち着きが悪く調子が悪いことが多いようです。

また、一般的に上顎の総入れ歯は、安定もよく、入れ歯がのる粘膜の厚みもあるため、固いものもよくかめますが、下顎は、あご自体が運動し、舌などがあるため、総入れ歯の動きが出やすく、おまけに粘膜の厚みが非常に薄いため、痛みが出やすく、調整に時間がかかります。

このように、同じ総入れ歯でも、上顎と、下顎では難易度が全く違います。

そして、一般の治療と違うのは、患者さんが気に入らなければ、はずしてしまえることです。これは、歯科医にとっては、気の抜けないところです。

残念ながら、今の日本の保険制度では、入れ歯の治療は、やればやるほど赤字になる治療です。よい入れ歯を手に入れるためには、保険診療でも、一生懸命入れ歯を作ってくれる歯科医を見つけるか、自由診療でやるしかありません。

そして、いったんこれはよいと思った入れ歯を手に入れたら、取り扱いを丁寧にして長く良い状態で使えるようにすべきです。安易に作り変えることはお勧めしません。
新しく作った義歯が、今まで以上に良いものになるとは限りませんし、使いこなせるまでには時間がかかります。

やはり、時間をかけて慣れてきたものにはかないません。もうそれは、体の一部となっているはずです。

このように、総入れ歯になる事で、新たに、入れ歯に悩みが出てきます。よい入れ歯と出会えるかどうかで、食生活全体が変わってしまいます。入れ歯になっても、やはり定期的なメンテナンスは必要なのです。

ただ、総入れ歯になると、口の中を清潔にするのが、簡単になることは、利点でしょう。

今の日本の医療の現状では、人手不足がはなはだしく、看護、介護されている方がいくらがんばっても、充分な口腔ケアーは難しいと思います。
そうなると、いざ障害を持ち、自分でお口の手入れができなくなると、逆に、歯がない方が良いという悲しい現実があります。そして、歯があった方でも、虫歯や歯周炎を起こしかむ所がなくなると、徐々に食事は、刻み食、ミキサー食へと変わっていきます。

日本は、経済的には先進国なのに、どうしてこうなってしまうのでしょうか?

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