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原田歯科医院

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ロキソニンは安全な薬か?

歯科でよく処方される鎮痛剤にロキソニンがあります。ロキソニンは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類されます。NSAIDsは、細胞膜のリン脂質に存在するアラキドン酸から炎症促進因子であるPG(プロスタグランジン)が産出されるのに必要なCOX(シクロオキシナーゼ)の活性を抑制してPGの合成を阻害します。

最近ロキソニンは比較的安全な薬として鎮痛、解熱剤として市販薬になりました。なかなか医療にかかる時間が取れない方の利便性を考えると妥当なことだと思います。

COXには、COX-1、COX-2、COX-3とありますが、COX-1は胃粘膜の保護や、血小板の凝集(血を固まらせる)、腎血流の増加(おしっこを出しやすくする)をさせるPGの合成に不可欠です。
痛みや炎症、発熱に絡むPG合成を促進するのは主に悪者扱いされるCOX-2ですが、その他にもガンの増殖を促進させる作用があることが分かっています。

NSAIDsであるロキソニンを服用することでCOXが非選択的(COX-1、COX-2ともに)に阻害されます。その効果の結果の一部として、鎮痛や解熱作用があります。今回は他の効果を探っていきたいと思います。

COX-1を阻害することにより起こること。

1)胃が荒れる。
2)血が固まりにくくなる。抗血栓療法を受けている患者様の場合、必要以上に抗凝固作用が出る恐れがあり脳内出血などのイベントがおきやすくなる。
3)尿が出にくくなる。これは、必要以上に頻尿の方の場合には、トイレに行く回数が減ることで夜間の睡眠がしっかり取れたり、日常生活で頻回にトイレに行くことによる生活の質の低下を避けることができます。ただし、利尿が必要な方(たとえば、利尿することで血圧を下げる必要のある高血圧症の方やもともと腎機能が低く尿量が少ない方など)は、高血圧の症状悪化や、むくみ(浮腫)を起こしやすくなりますし、特に腎機能が低すぎる方にとっては、長期間服用することはとても危険です。尿量が少なくなり老廃物を排泄できなくなることは、死を意味します。
4)喘息がおきやすくなる。これは、PG合成が阻害されるために、LT(ロイコトリエン)の合成が助長されLTが気管支収縮作用を持つために、喘息が起こりやすくなるといわれています。大人の喘息患者の1割程度がいわゆる「アスピリン喘息」を起こすとされます。副鼻腔炎を併発している喘息患者の大半がNASAIDsによるアスピリン喘息の高リスク群です。アスピリン喘息による死亡事故は、過去数件起きています。

COX-2を阻害することにより起こること。

1)痛みや腫れ、発熱が少なくなる。急激な炎症による体の障害を少なくできます。このことにより生活の質の低下を避けることができます。ただし緩やかな炎症が持続的に続いてしまう可能性があります。
2)過剰なCOX-2を阻害することにより、アポトーシス(細胞の自然死)が促進され、発ガンのリスクが低くなる(癌はアポトーシスにより排除されるため).

処方医、薬剤師、そして患者様も、薬の添付文書(使用上の注意など)をしっかりと読んでおくことが大切なようです。ロキソニンが市販薬になったことは、アスピリン喘息を含めて薬局での薬剤師の先生の問診でほとんど問題が出ないと国が判断したからでしょう。
ただ、「院内処方の医療機関で喘息ありと問診表に書いたのに、ロキソニンを処方された。」などという話もまれに聞くことがありますので、処方医が添付文書をしっかり読み込んでおき、問診をきちんとすることがとても大切ですし、医薬分業で薬剤師の先生がきちんと処方箋をダブルチェックするようなシステムが安全性においては一番よいのでしょう。

100%安全な薬はないと思っていたほうが良いようです。

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