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誤嚥性肺炎は胃瘻造設で防げるか?
誤嚥性肺炎は、おおきく
①嘔吐物、食物を誤嚥する化学性肺炎(Macroaspiration)
②口腔内常在菌、上気道分泌物の誤嚥による細菌性肺炎(Microaspiration)
に大別されます。
①の化学性肺炎は、機能改善が難しい場合に胃瘻造設で対応することになります。
通常、要介護高齢者はその大部分が②の細菌性肺炎となりますが、これは食物を誤嚥しているわけではありませんから、胃瘻を増設したり、禁食をしても肺炎を防ぐことができません。
本来は口腔内常在菌の歯周病菌に代表されるグラム陰性嫌気性桿菌が、痰や痂疲、上気道分泌物、上皮残渣などで増殖し、それらを不顕性に誤嚥することで細菌性の肺炎を起こします。
この細菌性の肺炎の場合は、主たる起炎菌のグラム陰性嫌気性桿菌を減少させるための口腔ケアと経口摂取を続けるためのリハビリテーションが必要となります。
経口摂取は、痰や痂疲、上気道分泌物、上皮残渣を大きく減少させます。
胃瘻造設を行い化学性肺炎のリスクを低減させても、細菌性肺炎のリスクは経口摂取を全くやめてしまうと増加してしまうということになります。
そのためには、胃瘻造設後も継続して口腔ケアとお楽しみ程度の安全な経口摂取を続けることで、細菌性肺炎の発症を減少させることがわかっています。
現在、要介護者の方の食べる機能と実際提供されている食事の食形態のミスマッチも①と②が混同されてしまうことや急性期における申し送りの再評価が行われないままになっているなどの複合的な問題があるように感じます。