歯科治療では、器具が血液、唾液などの体液に触れない治療は、ほとんどありません。
歯科では、患者様一人当たりの滅菌や消毒が必要な器具が多く、感染防止策に非常にコストがかかる、といった実情があり ます。
また、その感染防止策にかかるコスト(患者様一回の診療あたりおよそ350円とされています)は、診療報酬としては、初診時には110円、再診時には70円となっています。
この現状は、非常に危険だという認識を持っています。
誠意ある現場の医療側は滅菌や消毒などの感染防止策は行わないという選択肢はありません。行政には筋の通った対応をお願いしたいと思います。
①原田歯科では、器具の滅菌、消毒に関して以下の ように取り扱っています。
滅菌 すべての微生物を殺滅または、 除去すること
消毒 人畜に対して有害な微生物また は目的とする対象微生物だけを殺滅すること
(1) 皮膚や粘膜を穿通する器具は、必ず滅菌する。
(2) 粘膜と接触して使用する器具は、滅菌、少なくとも消毒をする。
(3) 正常な皮膚と接触して使用する器具は、汚染の程度に応じて、消毒、洗浄する。
(Spauldingの感染に対する危険度とそれに対応する、滅菌、消毒の取り扱い法に準じています。)
使い捨てのもの以外の熱やさびに強い器具は、オートクレーブという機器で、滅菌し ています。
熱やさびに弱い器具は、フタラール製剤による高水準消毒、次亜塩素酸による中水準消毒で対応しています。
②ハンドピースの滅菌について
口腔内で使用されるハンドピースは、皮膚や粘膜を穿通する器具ではありませんが、歯科用エアタービンやコントラアングルハンドピースは患者由来の唾液、血液な、体液により内部が汚染されるため、患者様毎に滅菌が原則とされています。
原田歯科では、これらハンドピースは患者様毎にオートクレーブ滅菌を行い交換しています。
これらハンドピースは一日の来院患者様数の1/2程度、基本セットは同数をそれぞれ用意し、大型のオートクレーブ2台が並列で休みなく稼働することで対応しています。
院内感染の定義
院内感染とは「病院や診療所などの医療機関内で、もともとの疾患とは別に新たなウイルスや細菌などの病原体に感染すること」です。
院内感染は、歯科治療に伴って生じる交叉感染と流行性疾患の蔓延によるものがあります。
標準予防策(スタンダードプレコーション)
①感染症の有無で対応を変えるのではなく、すべての患者様に同じ対応を行います。
②医療行為の前後の手洗いの徹底。
③血液、体液、唾液に接する場合(歯科はほぼすべての患者様)、患者様毎にディスポーザブル手袋を着用、使用後は汚染面に触れないように廃棄。
④刺傷事故の防止に努め、事故発生時は迅速かつ適切な対応を行う。
歯科治療に伴って生じる交叉感染予防策は、器具の滅菌、消毒、およびスタンダードプレコーションにより対応しています。