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脳性麻痺について

脳性麻痺(cerebral palsy;CP)は、受胎から新生児期までに生じた脳の非進行性病変に基づく、永続的な運動および姿勢の異常ですこの症状は2歳までに発現します。

発生率
1000人に2人前後と言われます。原因としては、出生前をしては先天性奇形、胎内感染症(20-30%)、周産期は低酸素性虚血性脳症、低出生体重、頭蓋内出血、核黄疸など(70-80%)、出生後は、感染所、脳血管障害、外傷など(10-20%)と言われます。

多彩な臨床分類
以下の6型に大きく分類できます。
①痙直型
伸張反射、腱反射の亢進があり、わずかの刺激で激しい筋緊張が起こります。痙直型の四肢麻痺では障害の程度が重い方が多いです。脳性麻痺の70-80%を占めます。
②アテトーゼ型
精神的緊張などで不随意な非協同性の筋緊張が見られます。脳性麻痺の10%程度を占めます。
③固縮型
四肢の屈筋、伸筋の両側に鉛管を曲げるような一定の抵抗が見られます。
④失調型
協同運動、平衡の障害、立位および歩行ののバランスの不安定が著しいものを指します。
⑤低緊張型
深部腱反射の亢進を伴う筋緊張の強いものを指します。
⑥混合型
各型の症状が混在しているものを指します。たとえば、痙直型とアテトーゼ型の混合型などが存在します。

障害の分布
障害の原因部位によって、脳性麻痺では以下の障害(麻痺)の分布が見られます。
①両麻痺 四肢の麻痺ではあるが、上肢より下肢の麻痺が強い。
②片麻痺 片側の麻痺。下肢よりも上肢の麻痺が強い。
③両片麻痺 両側に片麻痺が起こったもの。四肢の麻痺ではあるが、下肢よりも上肢の麻痺が強い。
④四肢麻痺 四肢の麻痺で、上肢、下肢ともに麻痺が強い。

合併症
脳性麻痺の患者さんには、本来発達の過程で消失する原始反射(緊張性迷路反射、非対称性緊張性頚反射)が残存し、異常な姿勢、筋の緊張が生じます。原始反射が持続すると、四肢体幹の変形、拘縮が進行し脊柱側彎、股関節脱臼などが起こります。これらは、二次的に呼吸器、消化器、循環器に合併症をおこします。
脳性麻痺には、精神遅滞(50%)、てんかん(50%)、視覚障害(50%)、聴覚障害(30-40%)、言語障害(70%)が併存します。

歯科的な問題点
歯の形成時期に障害の発症時期が重なるため、エナメル質の形成不全は起こりやすく、咀嚼筋などの緊張亢進のため咬耗(歯がすり減って扁平化してしまうこと)が起こります。また、てんかんに対してフェニトインなどの抗てんかん薬を服用しているため、薬物誘発性歯肉増殖症が見られます。
口腔周囲筋の緊張や舌の突出により、V字の狭窄歯列弓になりやすく、多くは開咬、上顎前歯の唇側傾斜が多く見られます。転倒時に前歯が出っ歯なので破折、脱臼などにより前歯を失うことが多いです。
運動障害の型、分布、精神遅滞、てんかん、呼吸器などの合併症により対応が変わります。ボーバス理論による反射抑制姿勢で、ほぼ通法、体動の抑制、笑気吸入鎮静法下で治療などで対応可能な場合もありますが、意識下では体動のコントロールが難しい患者さんや精神遅滞の重度な患者さんは静脈内鎮静法や全身麻酔で対応するようになります。
摂食嚥下機能障害がみられるため、容易に小器具や水の誤嚥を起こすため注意が必要です。不意の体動や咬反射などでトラブルが起こらないようにプロトコルに従った治療を行っていきます。
脳性麻痺は、運動、姿勢の障害ですが、おおよそ半数の方には知的障害がないということ留意しておかなければいけません。