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根管治療で治らない歯

虫歯が、神経まで達してしまうと、歯の神経を取る処置(抜髄、根管治療)をします。
歯の神経を取るときは、ファイルという針にヤスリがついたような器具で、神経をかき出し、その周囲の組織も可及的に取り除きます。(腐りそうな部分を可及的に取り除く)

神経の入っている空洞の形が、針のような器具できちんと掃除ができるような、単純な形、(前述の歯の断面図のような)であれば、特に問題がないのですが、実際は、根の先に行くにしたがって、網目状に分岐していて、もともと単純な形であるファイルでは完全に掃除ができないと言われています。

ですから、私たちが神経を取るということは、主たる神経の除去とその周囲の組織をとっているに過ぎません。現実に、根管を100%清掃できていないはずです。

その取りのこしの一部が腐敗し、歯の周囲に膿がたまったりすると、治療が失敗となります。

臨床的には、現在のような治療のやり方でも、教科書的に正しく処置していれば、90%以上は治癒に導けますし、(95%以上は問題が出ないという報告もあります)不幸にも再治療になった場合、(この場合、さらに清掃を徹底していくのですが、)そのうちの70-80%は治癒に導けるとの数字がありますので、トータルとして、97,98%以上は臨床的な治癒に持っていけると思います。

臨床的な治癒とは、患者様に痛みなどの症状がなく、レントゲンなどで炎症などの異常が確認できないことを言います。
ただ、実際は神経を抜いたあと、生体適合性の高い材料で、その穴をうめるのですが、その材料と、生体の接合部では、微細な炎症が起こっていることが多いようです。

再治療で治せない原因としては、根管の形が複雑、または慢性の虫歯などによる刺激で、狭窄を起こしていて(歯の神経の穴の表面には、歯を作る細胞が残っていて刺激が伝わると、歯の神経の穴に向かって新しく歯の組織を作り始めます)、器具の操作が難しかったり、その操作の途中で、本来の根管を見失ったりして、清掃がきちんとできない場合に起こります。

日本特有の問題として、根管治療の治療費が、欧米の10分の1程度に抑えられているため、歯科医の側がそれに見合った治療しかしないと言ったことが指摘されています

最近、日本では、保険医療で治療するのをあきらめ、自費で根管治療を専門でやる歯科医(歯内療法医)も出てきました。

逆に、アメリカなどでは、治療費の面では、歯科医は恵まれていますが、、予後が悪いと訴訟になってしまうため、難しいケースでは、抜歯してしまうようです。

また、歯の周囲にできた病巣が、大きくなりすぎてから治療すると、いくら根管を清掃しても、病巣が、のう胞という組織に変化してしまっていると治癒しません。そのようなケースでは、外科的に切除することになります。

神経を抜いた歯では、根管治療の失敗と、歯根の破折の問題が起こらなければ、歯自体の抜歯にいたるリスクは有髄歯(神経のある歯)とさして変わりません。ただし、虫歯になっても痛むことが少ないので、(痛んだときは、抜歯になってしまうことが多い)定期的に検診は受ける事をお勧めします。