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嘔吐反射について

健常者の歯科治療の受診困難患者様は大きく①歯科恐怖症(dental phobia)と②異常絞扼反射(いじょうこうやくはんしゃ、俗にいう嘔吐反射)(gagging reflex)に分けられます。
今回は、異常絞扼反射(俗にいう嘔吐反射)が強いために歯科治療が困難な方の話です。

それらの患者様の聴き取りから、歯科治療の中で不快な思いをしたこと(たとえば、乱暴な吸引操作や治療操作)により口腔内に器具を入れられることに強い抵抗感を持つことから始まる患者様、タバコやお酒などの常飲により口腔内や咽頭部の感受性が異常に高まってしまっている患者様、元来は歯科恐怖症であるがその拒否行動として異常絞扼反射(俗にいう嘔吐反射)が出てしまう患者様などに分けられます。

異常絞扼反射(俗にいう嘔吐反射)に関しても、初診時に歯に触ることができるような方もいますし、遠くから口の中を覗き込むことぐらいでしか診察ができない方もいます。

異常絞扼反射(俗にいう嘔吐反射)の強い方の大半は、歯科治療には強い恐怖心を持っていない方が多いので、静脈内鎮静がとても著効します。BIS値でいうと60以上の中程度の鎮静度が得られていれば治療可能な方がほとんどです。大半は、通常量のドルミカムで導入し、2-3mg/kg/h程度のプロポフォールで維持治療可能です。
ちなみに強度の歯科恐怖症になるとBIS値40程度の深い鎮静でないと体動が抑えられないことがあります。

恐怖症(フォビア)の方や異常絞扼反射(俗にいう嘔吐反射)(略してギャグ)の強い方は、十年以上も歯科にかかってないという方が多く、大半の方が口腔崩壊を起こしています。患者様ご本人は、何とか歯科治療を受けなければと思いつつも、治療をあきらめている方がほとんどです。特にギャグの方は、治療をしても歯ブラシを口腔内の深い位置に入れることができない方が多く、そのために虫歯や歯周炎を再発し臼歯部がなくなってしまうことが多いです。継続的に予防も含めて定期的に受診できる歯科医療機関が必要です。

フォビアやギャグが乱暴な歯科治療をきっかけに起こることがあるということは、私たち歯科医療従事者は大いに反省すべき点があります。
良かれと思って行った小児の抑制下治療がトラウマとなり、結局その小児が大人になったとき自ら歯科受診をする芽を摘み取ってしまっているかもしれません。また小児は自分で食習慣のコントロールができませんから(いくらソフトキャンディを食べたいと思っても、それを与えてくれる人がいなければ食べれない)、歯科だけの問題ではなく保護者の方の意識の問題も考えないといけません。
そのあたりの問題は、歯科からの一方通行になりやすくもう少し社会的な啓蒙が必要かもしれません。