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嚥下内視鏡検査(VE)について

訪問歯科診療をしているとほとんどの歯科医が直面する問題が、摂食嚥下障害です。

口腔ケアをしているもしくは依頼された患者様が誤嚥性肺炎や度重なるおそらく誤嚥による熱発を起こすために明らかに経口摂取が難しくなるような場合は、担当医師の先生が胃婁などの経管栄養に切り替わるべきとの判断がしやすいと思われますが、問題は現状経口摂取しているが、時々むせたり、食事の時間が長くなり、脱水や体重の減少が微妙にみられるような場合は、その切り替えのタイミングの見極めが難しいように思います。

RSST,MWST,CT,FTなどのスクリーニングテストで摂食嚥下機能の大まかな状態は評価できますが、明らかに誤嚥を起こしている患者様のケースを除いて、評価と実際その患者様が実際の食事のシーンで摂食誤嚥でトラブルが起きているかどうかは必ずしも一致しません。
また、意思の疎通がとりづらい患者様や認知機能が落ちた患者様の場合VEはもちろん、スクリーニングテストもできない場合も普通にあることです。

医療サイドとしては、管理している患者様が誤嚥性肺炎を起こしてしまうことはとても大きな問題であるため、その兆候や可能性がある場合、比較的早期に胃婁(PEG)などの経管栄養にしてしまう傾向がありました。経管栄養にしても誤嚥性肺炎を起こさないということはないのですが、誤嚥に関する認識が甘く、漫然と経口摂取をつづけているよりは適切な判断なのでしょう。

最近話として多いのは、その見切りが早すぎて摂食嚥下リハビリや口腔ケアもせず誤嚥しないように食形態を下げられてしまったり、摂食嚥下リハや口腔ケアをすれば、まだ一部経口摂取可能な患者様が経管栄養のみになったりしていることです。
また、急性期にPEGになったが、漫然とPEGのままで、患者様がPEG併用の上でそろそろ口から食事をしたいとご希望されるケースです。
脳梗塞後の嚥下障害などは、結果的に経口摂取可能になることが多いのでその時期の確認をしたいなどのケースもあります。

そういった場合、実際の食事のシーンで実際に経鼻的に非常に細い(3mm)程度のファイバー内視鏡を挿入したまま、直接嚥下に問題がないかを見る検査が嚥下内視鏡検査(VE Videoendoscopic evaluation of swallowing)です。この検査法は、1988年に報告された検査ですが、最近内視鏡の性能がよくなり、患者様の負担も少なく、実際の食事のシーンで外来、訪問を問わず行えるなどの利点があり、急速に普及してきました。

この検査も万能ではなく
①嚥下の瞬間が見えない。
②角度的に気管後壁が見えない。
③患者様との意思の疎通や協力が得られない場合検査できない。
④食事の際、やはり違和感がある。
などの問題はありますが、喉頭蓋(食べ物が気管に入り込まないようにするふたのような組織)周辺や、気管の入り口などを観察できることは非常に大きなインパクトがあります。

実際は、
①ファイバー先端にキシロカインゼリーなど潤滑剤をつけ、鼻からファイバーを挿入し、咽頭後壁を見つつ舌根部を通過し、喉頭周辺が観察できる位置でファイバーをとめて、食事をしていただきます。
②周囲の組織と見分けやすい色の着色水やごはんやとろみ食、おかゆなどいろいろなものを食べていただくと、通常嚥下に問題のない方だと食物が見えるか見えないか程度の位置で嚥下が起こり、その後視野にはほとんど食物が観察されません。
③嚥下に問題がある方は、食物が喉頭蓋周辺に降りてきてようやく嚥下が起こり、その後気管内に食物が観察されたりします。唾液を誤嚥している場合などは、気管内からブクブクと泡立っていたり、痰などが観察されます。

この状況を、動画保存し患者様や付添いの方に見ていただくことで、現状の評価をご説明していくことになります。直接訓練可能か、開口訓練やシャキア法などの間接訓練や食事の姿勢、食具の工夫、食べ方の工夫など今後の方針を決めるのにとても有用です。

検査の痛みの感じ方に個人差があるとは思いますが、実際、自分自身も何度か被験者になってみました。私は日本人としてはかなり鼻腔が狭いとのことでしたが、ファイバー挿入時、1か所ぐらいきついところがありましたがその部位をファイバーが通過すると痛みも全くなく何でも食べられますし、普通に会話もできました。

摂食嚥下の問題は、様々な職種が協力し合っていかないと効果を出すのは難しいです。やはり、毎日の口腔ケアを行い、食事のシーンを横で見守っている、もしくは介助している介護職や看護職の先生、実際に食事を作り、栄養管理をしている栄養士の先生方の力量が大きく影響しているように思います。
本当に、大変な仕事だと頭が下がります。