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セレックでできること、できないこと

歯科のCAD/CAMは、まだ発展途上で最新鋭機のセレックオムニカムもどんな症例もできるわけではありません。
精度に関しては、旧式のセレックをよく知る友人の歯科技工士にいわせるとずいぶん精度がよくなっているとのことです。おそらく今まで静止画で撮影していたものが、動画撮影になり再構築のための情報量が格段に増えたためだと思います。

セレック修復に向いている症例とそうでないものがあります。そういった情報はあらかじめ患者様に周知しておくべきですし、後出しにするのはフェアなやり方ではありません。
今回は、そのことについての話です。

できること(作成可能な修復物)

①セラミック、ハイブリッドレジンのインレー(詰め物)、クラウン(かぶせもの)、ベニア(歯の表面に張り付ける付け爪のようなシェル)の類をつくること。ただし連結はできません。
②全長40mmまでのレジンのテンポラリー(暫間的な補綴物)。レジンのブロックはかなり物性がよく研磨さえきちんと行っていれば長期間(1年以上)使用できます。

セレックに向いている修復物

①臼歯部のインレー、アンレー(インレーとクラウンの中間のようなもの)、クラウン。特にインレー、アンレーのように内側性の修復物は透明度の高いブロックを選ぶと色が歯質と溶け込むため、容易に高い審美性が得られます。クラウンは、選んだブロック、レジンセメント、歯質(支台)の組み合わせで若干色の見え方が変わってきますので、多少そのことに対する配慮が必要です。
②前歯部全体の色替えを行うようなクラウン。このようなケースはセレックブロックが主たる色となるため、残存歯との色合わせの必要性が高くありません。
③全く同じ形態の修復物の作製。前歯の場合、治療前と同じ形態で修復物を作りたいときや破折などで再度修復物を作り直さなければいけないときなどは、コピー機能を使用すれば治療前と同じ形態のものが作成できます。
また、当院で作成したセレック修復物が破折したなどのケースでは、以前の修復物のデータがありますので全く同じものを10分もあれば削りだすことができます。
口元の雰囲気を変えたくないときはとても良い機能です。

セレックが苦手な修復物

①セレックブロックとの色のマッチングが難しいケース。歯の色は非常にバリエーションが多くすべてを網羅するほど、ブロックの種類がありません。そのような場合は、セレックでクラウンを作り、シェードパイロットなどの分光光度計で色撮影をしてそのデータを歯科技工士さんに送り色付けをしてもらうようにします。もしくは、そのようなケースでは従来の歯科技工士による手作業による修復物のほうが審美性に関してはお勧めです。
②前歯のクラウン。こまかい色調合わせが必要なので、そのようなものは既製のブロックでは再現できないため、ワンデートリートメントは難しいです。

セレックオムニカムは、CADに関しては今後ソフトの改良が続くことやPCのハードの進歩により修復物の形態的なマッチングがより高速化していくと思います。歯科医の側としては、CAD/CAMの特性を理解して歯冠形成、光学印象、ブロックの選択、レジンセメントの選択をしていくことに習熟していくことになります。パソコンも同じものを持っていても使いこなすスキルによりできることが雲泥の差があるように、セレックもある程度のスキルレベルは要求されます。
CAMに関しては、セレックは現在はセラミックやハイブリッドレジン、レジン程度でサイズも限られますが最終的には扱える修復物のバリエーションはどんどん増えてくるように思います。ただし、それらを使いこなすのは、おそらく歯科医師ではなく歯科技工士です。

よくセレックなどのCAD/CAMが普及すると、歯科技工士の仕事がなくなるような話が出ますが、そういったことはまずありえません。時代とともに歯科医師の仕事がカリエス治療から歯周病治療に変化してきているようにに、歯科技工士の仕事が変化していくだけです。その変化に対応できる歯科技工士であれば、より重要なパートナーになると思います。現在仕事をお願いしている歯科技工士はとても勉強している先生方なのでいろいろと歯科技工に関して教えていただいています。とても頼りにしています。
実際、歯科医師一人では、大したことはできません。

CTとの連携では、現在歯科用CTで顎および顎関節の3次元的な再構成は可能ですから、そういったデータを取り込みその患者様に固有なバーチャルの咬合器を作り、それぞれの個体の顎運動を再現できればより理想的な修復物や義歯なども作れそうです。
このレベルは、現在のPCのスペックでは無理そうですが、技術的にはできないことはないように思います。
幸い歯科にはすぐれたプログラマーが潜んでいるのは確かなのでそういった高い能力を持つ方には力を発揮してほしいと思います。

残存歯が多い場合などは、歯の側方運動は残存歯でガイドされている場合が多いので、顎関節の情報などは必要なく、側方位での撮影をすれば実際の側方運動を予測できます。

患者様の顎顔面の形態をデータ化し、顎運動をPC上で再現できれば今まで手作業で行ってきた歯科の治療を科学的な目で検証できますし、より細かい顎顔面の形態や、運動異常を分析できます。
また、法歯学の分野でも身元不明のご遺体のマッチングに使えると思います。

問題点は、CAD/CAM設備は導入のための費用が大きいため、通常はそれに見合った収益が見込めないと導入する流れが出ません。今歯科技工に関しては、技工情報を模型を介して手紙(物流)でやり取りしている状態です、メール(オンライン)でやり取りできればどれだけ物流コストや、時間、資源の節約ができるかはかり知れません。技工費を浮かせるために人件費が安い中国などにわざわざ歯科技工を依頼するようなあぶくのように物流を使う動きにも対抗することもできそうです。そのためにも、本格的な保険導入は迅速に行ってほしいと思います。