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原田歯科医院

スペシャルニーズ歯科(障がい者歯科)・歯科訪問診療

ゆりかごから墓場まで、安心してかかれる歯科医療を提供します

スペシャルニーズ歯科(障がい者歯科)・歯科訪問診療

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歯科訪問診療

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認知症の方への歯科的サポート

認知症は概念として、一度発達した知的機能が脳の器質的障害により広汎に継続的に低下、日常生活、社会生活に支障をきたした状態であると考えられます。現在よく用いられる定義としては、DSM-Ⅳ-TR(米国精神医学会の精神疾患の診断、統計マニュアル第4版解説改訂版)、ICD-10(WHO国際疾病分類大10改訂版)などがあげられます。

認知症の診断基準(DSM-Ⅳ-TR)
A多彩な認知欠損の発現でそれは以下の両方により明らかにされる
1、記憶障害
2、以下の認知障害のうち一つ以上
(a)失語
(b)失行
(c)失認
(d)実行機能
B基準A1およびA2の認知欠損は、その各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しい低下を示す。

これらの定義では、いずれもせん妄などの意識障害がない状態で、記憶障害が必須の項目となっています。認知症は疾患名ではなく、いわゆる様々な原因により引き起こされる症候群として捉えられています。
認知症は記憶障害では、特に新しい記憶が障害されやすく、見当識障害では今いつなのか、どこにいるのか、周りの人はだれなのかなどという理解が障害されます。

認知症のその他の症状
①せん妄、興奮などの精神症状
②徘徊などの異常行動
③パーキンソニズム、舞踏運動などの神経症状

認知症を引き起こす疾患
①アルツハイマー病
②脳血管性認知症
③レビー小体型認知症
④前頭側頭型認知症
⑤プリオン病
などがあります。

認知症の患者様の歯科的対応

機能低下の程度にもよりますが、認知症の患者様は口腔内に関心がなくなり、口腔清掃も多くの方が頻度が減り、齲蝕や歯周病の多発が見られます。又、加齢や服用している薬剤の影響で口腔乾燥が高度になることで、口腔内に食さが多く残り、自浄性が失われていきます。
認知症の患者様も統合失調症の患者様に見られるような口腔崩壊を起こしている患者様が多く見られます。
さらに、口腔清掃を行わなくなると高齢により低下している摂食嚥下機能がさらなる低下をおこし、摂食時の誤嚥や、睡眠時の唾液の誤嚥などにより肺炎を起こしやすくなります。
入院患者の肺炎の割合は、70歳以上は7割が誤嚥性肺炎、90歳以上はなんと95%が誤嚥による肺炎となっています。

認知症の方は歯科治療に対して、強い不安や拒否行動を起こすことが多く、健常者の方のような歯科治療の進め方ができないことが多く見られます。
また、治療のみならず歯磨きなどの日常的な口腔ケアも難しくなります。実際、介護の方から受ける相談で一番多いのが、「口腔ケアが拒否が強く行えない」などです。拒否が強いと、開口すらできない場合が多く、そのような場合は歯科が介入することになります。
歯周病の歯磨き指導を受けた方はお分かりになると思いますが、口腔清掃にはテクニックが必要です。専門的な知識がないと効果が期待できません。
認知症の患者様は、認知機能の低下により、不安感が高まり外部からの介入や支援に関して過敏になっていて拒否が強くなってきていることが散見されます。歯科の担当者には以下のような配慮が求められます。

①何か行う前には必ず声掛けを行う。意思疎通や協力を得られるまでには時間がかかりますが、常に愛護的な対応を行う。
②患者様本人からの訴えが少ないため、こちらからそのしぐさ、食事の状態、口腔内の詳細な診察を行い問題点を見つけていく必要があります。定期的に診察が行われないと、問題点がスルーされてしまうため、「何かあったら連絡してください」などといった対応はとらない。
③全身状態、検査値、服薬などの状態を確認しておく。診察時に、外見や顔貌から始まり、身長、体重、全身状態、服薬状況、食事の状態から始まり、口腔内の状況など口腔ケアに必要な情報は事前に収集しておく必要があります。処置、口腔ケアを行う前に、口腔アセスメントは必ず作成しておきます。
④介護者への配慮。実際、歯科的な対応は歯科衛生士や歯科医師によって行われますが、介護を行うご家族や介護士、看護師の方に受け入れられるケア方法を提案する。また、その必要性を理解していただけるように、普段から連携や情報提供を歯科側から積極的に行っていく。

これらを総合して認知症の患者様の歯科的な対応のレベルを決めていきます。目標は、口腔機能を落とさないようにすることで、そのために歯科治療や義歯の作成が必要になることもありますがあくまでもそれは手段であり、目標ではありません。むしろ口腔ケアをどれだけのレベルで、継続して行えるかが勝負となります。歯科医師よりも歯科衛生士が実働部隊になります。

また、終末期になると摂食嚥下に関する問題は必ずついて回ります。ケアや治療をしてさっさと帰るだけではなく、食事の状態を見守っていく対応も必要になります。

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