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原田歯科医院

スペシャルニーズ歯科(障がい者歯科)・歯科訪問診療

ゆりかごから墓場まで、安心してかかれる歯科医療を提供します

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.障害者診療

抗血栓療法を受けている方の止血について

抗血栓薬は、主に①血栓形成の予防②DICの予防③血栓溶解の目的で使用される薬です。歯科に来院される患者様のほとんどは①の血栓形成の予防のために抗凝固薬または抗血小板薬を服用されています。抗凝固薬は凝固因子を阻害することにより静脈の血栓や肺塞栓に、抗血小板薬は血小板の凝集を抑制することにより動脈硬化による血栓に対して使用されます。

抗血小板薬は、大まかに

①アスピリン TXA2産生抑制による血小板活性化阻害によるもので、作用発現は早いのが特徴です。副作用としてはぜんそく、消化器潰瘍などがあります。作用時間は、血小板寿命(およそ10日前後)。投与中止期間は7-10日。

②クロピドグレル、チクロピジン 血小板のADP受容体阻害による凝集抑制によるもので作用発現は遅く、アスピリンに加えて使用され、ステント留置後はかならず使用されます。作用時間は、血小板寿命。投与中止期間は10-14日。

抗凝固薬は、

①ヘパリン AT-Ⅲ活性化による凝固因子阻害によるもので、静脈注射によるもので急性期や作用時間が短いため小刻みに効かせたいようなとき(たとえば、手術時、透析時、静脈ルートの確保のときだけなどといった場合)などに使用されます。ちなみに半減期は40分、プロタミンにより中和できます。

②ワルファリン ビタミンK拮抗作用による凝固因子産出抑制によるもので作用発現は遅く、半減期は36時間、投与中止期間は5日程度になります。

歯科で問題になるのは、抜歯時などの止血、薬の相互作用、原疾患に対する歯科治療時の配慮です。今回は、止血のみの話になります。

①抜歯時などの止血に関しては、基本的に抗血栓薬が適正に投与されている場合は、服用中止は基本的にしません。抗血小板薬の場合は、サージセルなどの局所止血剤と縫合、適切な圧迫止血でほぼ確実に止血できます。ワルファリンの場合は、プロトロンビン時間(PT-INR)が3.5未満(日本人の場合、3.0)の範囲以内であれば、ガイドラインに沿った止血処置をおこなえば大きな問題は出ないと思います。ただ、問題はINRのモニターにあります。INRは、日々変動しており、食事内容や服薬の状況で1.0以内の範疇で簡単に変化していることを経験しています。原田歯科では、抜歯、手術前に術前の血液検査でINRを測定しますが、抜歯当日にも末梢血または静脈血からINRを測定し、抜歯時点におけるINRを把握するようにしています。実際、INRが2.0前後で管理されているはずの患者様が3.0近くまで上昇していたことなどもありました。抜歯など局所的な場合は止血しやすいのですが、歯石除去などで広範な部位からの出血を伴う場合は、止血用のシーネを用意しておかないと、INRがその当日3.0を超えるようなことを知らずに広範囲を処置してしまうと慌てます。そのような場合は、区域ごとに処置をおこなっていきます。

原田歯科では、抗血栓療法を受けている患者様の抜歯、歯石除去などに伴う出血に対しては、

①局所止血剤(サージセル、スポンゼル)などの填入、緊密な縫合。適切な圧迫止血。ほとんどは、これで充分。縫合しても閉鎖しにくいときは、アルギン酸ナトリウム(カルトスタット)を挟み込むように縫合すれば有効。

②周囲に歯などの固定原があれば、歯周包帯(傷をパックする即硬性の粘土のようなものです)。なければ、事前に止血シーネ(傷を覆うマウスピース)をつくりパックを併用する。シーネは数日間はめておくことがあるため、食事が可能で、極力装着しやすいものを工夫して作ります。アルギン酸ナトリウム(カルトスタット、アルト)をパックの下になどをひいておくとなお良いとおもいます。

③事前に血管強化薬(アドナ)などを服用すると出血はより抑えられます。アドナは、凝固、線溶系に影響を及ぼしません。内服、皮下注、静注などで投与可能。

④術前に術野の腫れや炎症をとっておくことが不要な出血を抑える基本です。一番大事なことは、患者様に抗血栓薬の服用をやめないようにきちんとお話しておくことです。体表の手術の場合、止血は容易であることが多いため、原疾患に対して適性にコントロールされているINR(3.5以下)であれば大きな問題は起こりません。逆に抗血栓薬の服用をやめることで、およそ1%の方が血栓、塞栓症を起こしその大半の方が亡くなっています。

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