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原田歯科医院

スペシャルニーズ歯科(障がい者歯科)・歯科訪問診療

ゆりかごから墓場まで、安心してかかれる歯科医療を提供します

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インプラント治療に使用する骨補填材

歯科インプラントでは、あごの骨に径が4ミリ前後の人工歯根(フィクスチャー)を植え込んでいきますが、埋入予定の部位に骨のボリュームが充分ある方であれば、特に骨を作ったりする必要はありません。

ところが、実際はフィクスチャーを植え込めるだけの骨の厚み、高さがない場合があり、そういった場合は、フィクスチャーを囲むように骨様の組織を作っておかないと、歯肉などの軟組織のボリューム、形態が保てないため、審美的な問題が早期に出てきたり、清掃性が悪くなり、感染を起こしやすくなったりします。

そこで、フィクスチャーの周囲にできれば2ミリ程度の骨の厚みが取れない場合などを中心に、骨を作ることが必要になってきます。
人工的に、骨を作ることを、GBR (Guided Bone Regeneration 骨誘導再生療法)といいます。

教科書的な分類ですが、骨補填材には、次のような機能が求められます。
①骨形成能
移植された骨が、生存してそれ自体から新しい骨が形成される能力

自家骨(自分の骨)
一番骨を作りやすいものですが、どこかからとってこないといけませんので、取れる部位と、量が問題です。
以前は、腸骨から採取していましたが、現在は口腔内の埋入部位以外の箇所(オトガイ、下顎枝など)からや、埋入する部位から削り取った骨を使用することがほとんどだと思います。
自家骨は、②、③の性質も併せ持ちます。

②骨誘導能
骨を形成する細胞(間葉系幹細胞など)を誘導して、骨を作らせる能力

脱灰凍結乾燥他家骨(他人の骨、DFDBAといいます。)
脱灰されていないもの(FDBA)もありますが、吸収される時間が長くかかります。
アメリカでは、一番メジャーなものですが、日本では、他人の骨由来のものを体に入れることに、抵抗が強く、患者様の同意が得られにくい場合が多いようです。
③の性質も併せ持ちます。
EUなどでも、使用に慎重な傾向があります。

余談ですが、アメリカなどでは、死後自分の遺体を売ることがビジネスとして成り立っており、1体1500万円程度の値がつくそうです。そのお金を、残された家族のために残していきます。

ヒトγ線照射骨(Puros)
これは、厳しいドナーの選別を行い凍結乾燥処理をしていない無機質で純粋な骨です。
特殊な加工をすることで、本来の骨ミネラルとコラーゲンが保たれます。

③骨伝導能
骨を形成するための足場(スペース)を提供する能力、日本では合成リン酸カルシウム系のものがよく使われます。

非吸収性ハイドロキシアパタイト(非吸収製HA)
ハイドロキシアパタイトは、骨の無機質の主要成分です。
吸収されないものは、フィクスチャーの外回りなどに使用することで、周囲の軟組織のボリュームの目減りを抑えます。

吸収性ハイドロキシアパタイト(吸収製HA)
吸収されるハイドロキシアパタイトです。DFDBAの合成品バージョンのような使われ方をします。

βTCP(βーリン酸3カルシウム)
β-TCPは、骨芽細胞の骨形成能を高め、速やかに自分の骨と置き換わります。

ほかにも、生体用の焼石膏、牛由来の異種移植骨(Bio-Ossなど)があります。
Bio-Ossは、骨誘導能を持つのではないかといわれています。

これらの、補填材は、単独で使うこともありますし、いくつかのものを混ぜ合わせたり、性質の違いを利用して、何層かに重ねて使用することもあります。

事前に、患者様に骨造成をする場合は、骨補填材のことをお話します関係上、DFDBAなどは日本では気にする方が多いようです。
実際は、非吸収性のHA、吸収性のHA、βーTCPなどが患者様の納得を得られやすいようですし、保存も楽なので扱いやすいと思います。
膜とは何?

インプラントを骨に埋入する際、充分な骨がない場合、足らない部分に前述の骨補填材を置きます。
骨補填材を置いたまま、剥離した歯肉骨膜を縫い戻してしまうと、その骨の中に、上皮や結合組織など歯肉由来の組織が骨補填材の中に入り込んでしまい、骨様の組織ができないことがあります。

骨補填材の中にそれらの組織が侵入してこないように、骨補填材を細胞は通さないが、液体、栄養は通せるような膜(メンブレン)で、遮蔽します。

よく臨床で使用される膜には、次のようなものがあります。

非吸収性のもの(後で、撤去が必要)

①e-PTFEメンブレン(延伸加工した四フッ化エチレン)
ゴアテックス社のTRメンブランなどがよく使われます。TRとは、膜にチタンの補強が施されているために、形を作りやすく、骨補填材をおくスペースを維持しやすくしてあります。

②d-PTFEメンブラン(延伸加工されていない高密度メンブレン)
CYTO PLAST社のREGENITEX GBR-200などがあります。
前述のゴアテックスのメンブレンより膜の構造が緻密なため、膜の表面がつるつるしています。そのため、歯肉を縫い合わせたあと、膜が露出しても感染が起こりにくくなっています。
骨補填材を使うときは、その分ボリュームが大きくなりますので、そのまま剥離した歯肉を縫い合わせてしまうと、傷がふさがりません。
歯肉のの内面の骨膜を切ること(減張切開といいます)により、歯肉が容易に伸展できるようにしてから、縫い合わせます。
それをおこなっても、傷が開いてしまうことがあるのですが、この膜は、傷が開いても感染が起こりにくいため、歯肉を伸展して引き寄せなくともよいので、その部位の後々の引きつりが少なくてすみます。
ただし、歯肉が、膜に沿って入り込んでしまうため、術後の歯肉の形がきれいでないため、審美性が要求される部位には使用されないことが多いようです。

日本では、非吸収性のメンブレンはゴアテックスのTRメンブレンが主流ですが、今後は露出しても感染しにくいCYTO PLASTに替わられると思います。

③チタンメンブラン
チタンのメッシュのものです。形をつけやすいので、大きく骨を作りたいときに使用します。通常は、このメッシュの上に、吸収性のメンブレンを置いて使用します。

吸収性のもの(後で、撤去しなくてもよい)

主に、コラーゲンの膜がほとんどです。
非吸収性膜に比べ、
利点
1)膜を除去するためのオペが不要
2)新生骨が露出する機会が少ない
3)2回法インプラントにおいて、手術のステップが多少簡単。
4)やや価格が安い
5)感染が少ない
欠点
1)上皮などを遮断する期間が、コントロールしにくい
2)吸収過程や創傷治癒が骨の再生を妨げる
3)しなやかなため、骨補填材を保持するスペースが保ちにくい。

などの特徴があります。

コラーゲンメンブレンは、吸収期間が10日ぐらいのものから、24週ぐらいのものまで、いろいろと用途に合わせてバリエーションがあります。

Colla Tape(10日から2週間)
Bio Mend(6-8週)  ウシのアキレス腱由来
BioMend Extend(18週)
OSSIX-PLUS(24週)  ブタ由来
Bio-Guide(16週)  ブタ由来

などいろいろなものがあります。GBRの場合は、吸収期間が長めのものがよいのですが、短いものでもさほど問題はありません。
吸収期間の短いものは、基本的に価格が安いです。
また、骨の欠損がとても小さいときは、骨補填材を餅状にして、膜を使わずに使用する場合がありますが、出血が多いとくずれてばらけることがあるので、そのような時は、一時的な骨補填材の保持のためにBioMendのような吸収期間の短い膜を使う場合があります。

撤去しなくてよいことと、操作性がよいこと、感染がすくないこと、などから大きく骨を作らない場合は、吸収性膜で対応しています。

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